喪服の行列
街外れ。
黒い服をまとった人々の中心に棺。
シェゾ・ウィグィィが死んだ。
ロクな死に方はしないだろうと彼自身も含めた誰もが思っていた。
現実も矢張りその通りで骨すら残らぬ死に様だった。
それでも生前の彼に言わせれば物好きな知人たちは彼の葬儀を執り行った。
棺の前にアルル・ナジャ。
無表情のまま小さな手を棺に振り下ろす。
手向けるべき花を握り締めたまま。
空の棺は空虚な音だけを返す。
「――!!」
彼女が何を叫んだのか。
その場の誰にも理解できなかった。彼女自身にすら。
ただ衝動のままに目の前の棺を叩く。
「アルル!」
アルルは気がつけばラグナスに抱きとめられていた。
見慣れない黒い服、喪服。
横から覗き込んでくるルルーも、後ろのほうで何か言っているサタンも、みんなみんなくろいふく。
くろ、クロ、黒―。
黒は彼の色。それなのに彼はいない。
いない。
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